借りた本のこと
納会でH君に借りた小説を読んでいる。
初めは専門用語や言い回しが難しくて投げ出してしまおうかと思った。
本は機本伸司の「神様のパズル」だ。
物理学のゼミで単位を取るために「宇宙は無でできている。ではその無を作ることが出来れば宇宙を人が作ることが可能ではないか?」という課題がテーマで、そこに出てくる天才少女の葛藤と成長を描いている。
主人公はごく平凡な大学生でその主人公に視点で描かれている。
天才少女は試験管ベビーとして描かれている。
彼女は自分の出生を知った時から、自分とは何かを考えている。
宇宙を知ることは自分を知ることだと言っている。「なぜ自分が生まれてきたか、なぜここにいるのか」。
小説と言うよりも人がいつも素朴に思っていることではなかろうか?
この主人公が物理学を選択した理由は物理学には答えがあるから、宇宙の秘密をしれば自分がいる秘密も分かると考えたからだと思っている。
でも結局物理はある一面を保障するものでしかない、と結ぶ。人が生きる意味はもっと多面的なとらえ方がある。宇宙のこともそう言う意味で考えずともいいのではないかと結ぶ。
宇宙と言うのは不思議だ。初めに宇宙があった訳ではない。何もないところに、何かの歪が出来その歪から宇宙の元になるものが出来だし、一端出来ると勝手にそれは宇宙を形作っていく・・・。
そしてその宇宙にはやはり寿命がありいつかなくなるのだと、小説の中でシュミレートした小宇宙の中で展開される。
もしそのように本当に出来ているとすると、この宇宙のもとを作ったものが、私たちを俯瞰している。
それが私たちがどのように結びつき、消滅するかその者の視点からは一瞬の出来事であろうが見ているのだと思うと、こうしている私たちはほんの一瞬ディスプレイ画面に出来た記号のようなものなのだろう。
それでも私たちは生きることを考える。偶然にいまここにいることを考える。永遠の謎はなぞのまま何もわからず私たちはこの生を終える。
答えがでないままだが、それでも謎だを思う時、自分が確かにいるのだろうと言う気がしてくる。すべてを疑い否定しても、必ず考える「わたし」は存在する。
まだ残りがあるがこの小説を読んでいてそんな気持ちになった。
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